この記事では将棋の中盤の局面を中心に説明出来ればと思います。
まずは将棋の序盤では、互いに定跡通りに近い手を指していればそこまで形勢が動くことはないと思います。
しかし、中盤に差し掛かってからは少しのきっかけですぐに形勢が変わってしまいます。
終盤で相手を寄せやすくするためにも、出来れば中盤で少しでも差を広げておきたいところです。
中盤戦は鍛えるのが難しい局面にもなるので、初心者の方はまずは中盤の考え方を身に付けることが大切だと思います。
将棋の中盤とは
将棋の中盤とは、自分と相手の駒がぶつかり出して、駒を交換しながら戦いが起こる事です。
序盤の段階でしっかりと駒組みが出来ていれば、現状でそこまでの差は開いていないものだと思います。
しかし、中盤戦ではちょっとした事がきっかけで、有利にも不利にもなり得るので、しっかりと先の展開を読むことが大切になってきます。
それでも初心者の内は経験した局面が少ないと思いますので、最初は特に難しい局面だと思います。
中盤は鍛えるのが難しいと良く言われますが、私も初心者の頃には本当に難しいなと思っていた記憶があります。
経験を積む事で、似た局面になった時に先の展開を読む力になってくれるので、中盤を鍛えるには経験を積む事も大切な要素です。
駒得を狙う
駒同士がぶつかり出して戦いが起これば、中盤に差し掛かっていますが、同じ駒同士を交換するばかりでは差は生まれませんよね。
出来れば相手には価値の安い駒を渡して、こちらは価値の高い駒をいただく事が出来れば自然と優勢になっていきます。
気を付けて欲しいのが、高い駒を渡したくないばかりに安い駒ばかりでしか攻めれない消極的な将棋になる事です。
このような局面の時に、飛車先の歩をただ突くだけでは、歩の交換をするだけになりますよね。
図からの指し手は、
☖2四同歩、☗同飛、☖2三歩となって、飛車先の歩は交換できますが、続く攻めは何もないですよね。
歩だけで相手陣を攻略する事は、かなり無理があるのが分かります。
こちらの図では似たような局面ですが、攻めに銀を加える事が出来ています。
図からの指し手は、
☖2四同歩、☗同銀となり、☖2三歩と打ってきても☗同銀で無効なので、他の手を指してもこちらは☗2三銀成とすれば、3二の金とこちらの銀の交換に成功し駒得になります。
上図でも【飛車先の歩交換3つの得あり】という格言もあり、善悪の判断は難しいものです。
現代将棋においては、歩を交換している間に相手から先行されてしまうデメリットも重視されていますので、下図は極端な例ですが、相手の駒より安い駒で相手の高い駒を取れることを意識してみて下さい。
攻め駒と守り駒を交換する
自身の攻め駒と相手の守り駒を交換出来れば、相手を弱体化しつつ攻め駒を持ち駒として使えるようになります。
図では、先手の飛車先の歩を突き攻めの銀と守りの銀を交換する局面です。
図から、☖2四同歩、☗同銀、☖同銀、☗同飛、☖2三歩、☗2八飛(下図)となりこちらの攻めの銀と相手の守りの銀を交換する事に成功しました。
さらにこちらは飛車先の歩も切れて、1歩も手持ちに出来たので攻めの幅が広がりました。
このように、相手の守り駒とこちらの攻め駒を交換出来れば、相手陣を弱体化しつつ、こちらの攻め駒を持ち駒に出来ます。
大駒を成り込む
飛車か角を成り込む事も中盤でリードを奪うには、大切な要素です。
龍や馬に成れれば、かなり相手陣を攻めやすくなりますし、自陣に引けば強力な守り駒にもなります。
このような局面の時には大駒の成り込みを狙いましょう。
図からは、☗2四歩、☖同歩、☗同角、☖同角、☗同飛(下図)と進めば、後手には飛車の成り込みを防ぐ手がありません。
飛車を成り込んで後手の桂馬や香車も回収出来れば、かなり攻めやすくなります。
下図のように、先に大駒を成る事に成功すれば、かなり有利な終盤戦に進めますよね。
攻める時の考え方
中盤で相手陣を攻める上で、あなたは何を考えて攻めていますか。
私が初心者の頃は、相手の囲いや戦法は良く分かっていなくても、とにかく知っている攻め方ばかりで攻めていました。
しかし、毎回同じ攻めが通じるわけもなく、上手くいけば勝てるし上手くいかなければ当然負けていました。
なぜなら、相手の囲いに対しての弱点を理解していないまま、見当違いな場所を攻めているからでした。
対穴熊戦の一局です。
銀交換後に、☗8二銀と打って桂馬に狙いをつけていますが、相手の囲いとほとんど関係ない桂馬を取るために銀を使っているようではいけませんよね。
相手は銀を持ち駒としているのに、こちらだけ銀を桂馬と交換しているだけになります。
図で言えば、相手の8一の桂馬はまず使えないような桂馬ですが、それに対してわざわざ持ち駒の銀を使うようではこちらの損になります。
攻める上では、相手の囲いに対しての急所を学んで行くことが大切です。
どんな囲いも必ず攻められると弱い箇所があるので、少しずつでも良いので囲いの急所は覚えて行ってください。
受ける時の考え方
よく【攻撃は最大の防御】という言葉を聞きますよね。
私も級位者の頃はそう思っていましたので、中盤以降の思考は攻めにばかり向いていた気がします。
確かに、攻撃を続けて相手に攻める隙を与える事がなければ、言葉通り最大の防御にはなりますが、級位者の頃から攻め続ける事はかなり難しいと思います。
級位者の頃から攻める事ばかりに意識が向いていては、上手い受け方というのは身に付きません。
これは右四間飛車の一局になりますが、先手はすでに攻撃態勢が整っていますが、すぐに攻めるのが良いでしょうか?
私のお勧めは、まずは☗6九玉~☗7九玉までは囲ってほしいです。
いきなり☗4五歩と突いて攻める事も出来ますが、玉形に差があり、☗4五歩、☖同歩、☗同桂、☖4四歩打、☗3三桂成、☖同桂(下図)と進んだ局面では、後手から香取りや5五歩の突き出しもあり、先手としてはまとめるのが難しくなっています。
玉の堅さに差があるのに、こちらの攻めばかりを通すのにはかなりの力量が求められます。
攻める前に、攻めに専念できる形を作るのも大切な考え方だと思います。
中盤の勉強はなにをする?
中盤の勉強は手筋を学んで、AIで対局を振り返り学ぶ方法が良いです。
しかし、大前提で覚えてもらいたいのが、中盤の勉強は序盤と終盤を学んだ後にするという事です。
中盤ばかり学ぼうと思っても、中盤力はなかなか伸ばすのが難しいので、同じぐらいの棋力の方に勝てないなら、序盤と終盤力を伸ばすのが最も確実です。
次の一手を学ぶ
次の一手を読むことはあなたの将棋に対する考え方を高めてくれます。
なぜなら、自分では思いつかない手を教えてくれ、解く過程から回答まで学ぶ事で将棋に対する理解を高めてくれるからです。
優れた手をたくさん学ぶ事で、形勢不利な局面からでも、挽回できる手を探す事の出来る考える力をつけましょう。
新しい発想を知る事で、さらに将棋の面白さに気づく事も出来るはずです。
AIで学ぶ
AIで自分の対局を振り返り、AIの推奨する手を学ぶ事で中盤の理解が深まります。
AIは過去の定跡も学んだ上で、最善の指し手を教えてくれるので、かなり参考になります。
しかし、AIの指し手が理解できない事もあると思います。
特に級位者の内は理解できない手を、理解できるまで考える事は時間の無駄です。
かなり先まで読んで研究したい方は良いですが、級位者から初段になりたい方は、理解できる手だけを学ぶようにする方が良いと思います。
まとめ
今回は中盤の考え方を中心に私の考えを紹介させてもらいました。
将棋の中盤は難しく、常に新しい学びもあり、とても勉強しがいのある局面だと思います。
- 駒得を狙って、有利な状況を作る
- 価値の同じ駒なら、攻め駒と守り駒を交換すれば攻めやすくなる
- 先に大駒を成り込んで、戦局を有利に進める
- 囲いの急所を学んで、攻めるべき場所を間違えないようにする
- 先に囲いや受けを完成させて、攻めに専念出来る形を作る
- 次の一手やAIの推奨手を学んで、中盤力を鍛える
- まずは序盤と終盤を学んだ後に、中盤の勉強をする
以上の事を意識しながら中盤を考えてみて下さい。
中盤力を伸ばすのは、かなり難しい事だと思いますが、頑張ってみて下さい。
あなたの将棋の勝率が上がり、楽しく指せるように応援しています。
記事を読んで頂きありがとうございました。
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