玉の格言
普段の将棋で、意識しながら指してみて欲しい格言を厳選してみました。
特に玉は、勝ち負けに直結する駒であるだけに非常に意味のある格言もあります。
初心者の内から意識して指せるようになれば、きっとあなたの上達を助けてくれると思います。
居玉は避けよ(いぎょくはさけよ)
序盤の飛車先を突き捨てた局面になります。
歩を交換できるからと安易に飛車先を突くと☖1五角と打たれて王手飛車で試合終了です。
居玉と言うのは、玉が最初の駒の配置から1マスも移動していない事を指します。
玉が最初の配置から移動していない状態を居玉と言いますが、攻められるともろい状態を表します。
初心者の内はこの居玉というのは、もっとも避けた方がいい状態です。
玉を上か左右に移動させて囲いを作る事が大切になってきます。
玉は包むように寄せよ(ぎょくはつつむようによせよ)
簡単な寄せの局面です。
金をどこに打てば寄るでしょうか?
答えは☗3二金と打てば相手は受けがなくなります。
相手の玉を寄せる時に、覚えて欲しい基本の攻め方になります。
相手の玉に対してすぐに王手を掛けるのではなく、まずは玉の逃げ道を封鎖してから寄せようという意味です。
玉の逃げ道がスカスカの状態で王手ばかりを掛けていても、相手の玉を詰ますことは出来ません。
さらに悪いことに、相手玉を逃がしてしまうと自分の攻め駒がその場所に取り残されてしまい、次に玉を攻める時に戦力不足に陥る事になります。
片方ばかりから攻めずに、相手の玉を包むように両方から攻めるという攻めの基本です。
王手は追う手(おうてはおうて)
玉は包むように寄せよの図から、☗6一金と打って王手を掛けた場合はどうなるか。
☖4一玉と逃げられて、捕まらなくなります。
相手の玉の逃げ道がスカスカなのに、王手ばかりを掛けても逃げられて逆に寄せにくくなるという意味です。
初心者の内は特に意識する事が大切だと思います。
【玉は包むように寄せよ】を思い出して、相手の逃げ道を封鎖してから寄せる事が大切です。
ただ、相手玉の逃げ道がある状態で王手をしてはいけないということではありません。
相手の囲いを崩す為、または相手に受けられる前に攻めのきっかけを作る為にする王手は有効な手になることも多くあります。
玉は包むように寄せて、追うて(王手)になっていないかなと、考えながら寄せる癖を付けると良いと思います。
玉は下段に落とせ(ぎょくはげだんにおとせ)
玉を下段に落とすための一手は?
答えは☗2四飛です。
以下、後手が2三に何を合い駒しても☗2一飛成、☖同玉、☗2三飛成までの一間竜の形の詰みになります。
相手側の玉を低い位置に誘導して寄せるようにすれば、相手の玉を詰ませやすくなるという意味です。
中段まで上がってきた玉は、意外と寄せづらくなるものです。
玉は全方向に移動できる駒なので、中段まで上がってくると逃げ道が多くなる事が多いです。
なので、下段の低い位置で追い詰めるように相手玉を寄せるようにすれば、少ない攻め駒でも詰みまで持っていける事が多いです。
特に相手玉に入玉されると、相手玉を詰ますことが困難になるので、多少の損をしても玉は下段に落とす事を意識して寄せる癖を付けると良いと思います。
端玉には端歩(はしぎょくにははしふ)
端玉を攻める時にはどうしますか?
図では、☗1五歩と突くのが厳しい攻めです。
☖同歩に☗1四歩と打てば、☖同玉でも☖2四玉でも☗2五金、☖1三玉に☗1五香の詰みになります。
端玉とは1筋か9筋に玉がいる状態で、その状態の玉には端の歩を突くのが有効だという意味です。
穴熊のように玉が端にいる囲いには、端から攻める攻めが有効になる場合が多いです。
香車が向かい合っている端では、相手の玉がいる端の歩を上手く使って攻めれば香車・歩などの渡しても安い駒でリスクが少なく攻めて行ける事もあります。
端の突き捨てを有効に使う事が出来れば、自分の香車だけを活用して攻めに使える展開にもなりやすいです。
ただし、囲いの定位置が端玉の場合の端攻めは効果が高い時もありますが、相手が端に戦力を集中して受けている場合など、効果的ではない場面もあるので注意が必要です。
角筋は受けにくし(かくすじはうけにくし)
玉が角に睨まれている状態での角の攻めです。
☖2六歩と打たれて困ってます。
取り返す事が出来ず、歩で金を取られてしまいます。
相手の角の利きに自分の駒が入っている場合は、受けるのが難しいという意味です。
角によって自分の玉や飛車を狙ってくる、【こびん攻め】という手筋があるぐらいです。
斜めからの攻めは歩や桂馬などの安い駒を使って攻めやすくなり、それによって大きく駒得したり大きな拠点を作られたりします。
角の攻めに対しては、早めに角筋を避けるようにするか、2重にも3重にも利きを止めるのが有効になる場合が多いです。
攻める時には角の利きを意識して相手の価値の高い駒を狙ったり、玉を詰ます事が大切になってきます。
【玉は敵の角筋を避けよ】という同じ意味の格言もあります。
初心者の内は特に気を付けて欲しい格言の一つだと思います。
中段玉は寄せにくし(ちゅうだんぎょくはよせにくし)
終盤の相手玉が入玉を含みに逃げて来た局面です。
先手は相手玉に対して有効な王手はなく、下から追っていくと入玉を助ける事になってしまいます。
玉が中段まで上がってきた場合は、逃げ道が広く寄せたり詰ませたりするのが難しいという意味です。
玉は下段に落とせの格言と意味は似ていますが、こちらも重要な格言だと思います。
中段は4~6段目の事を指しますが、そこまで上がってきた場合は入玉されてしまう恐れも出てきます。
入玉されてしまうとさらに寄せが遠のく事になります。
自分の成駒が多くいても、中段まで下がりにくいので活用するのにも手数が掛かります。
中段に自分の駒がいて、安全が確保されているような場合は自ら中段へ玉を逃がして入玉を見せるような指し方も有効になる事が多いです。
玉は下段に落とせの格言と合わせて、寄せを目指す上では気を付けて欲しい格言の一つです。
玉の守りは金銀三枚(ぎょくのまもりはきんぎんさんまい)
こちらは有名な矢倉囲いになります。
金を2枚と銀を1枚で囲いを作っています。
囲いを作る上で、金駒3枚で玉を囲えばしっかりとした堅さの囲いになるという意味です。
金が2枚に銀が1枚で玉を囲い、残りの銀1枚を攻めに参加させるのが好手のバランスがいいとされています。
金駒3枚の囲いと言えば、【矢倉】【美濃囲い】【銀冠】などが有名ですが、いずれも優秀な囲いになります。
しかし、金駒3枚で囲いを作るには手数がある程度必要になってくるので、早い段階から相手に仕掛けられそうな時は、状況に応じてバランス型の囲いに構える必要も出てきます。
守りの形を作る上では、意識しながら指してみて欲しい格言の一つです。
玉の早逃げ八手の得(ぎょくのはやにげはってのとく)
終盤の局面で☗2八にいた玉を☗1八に移動させた局面です。
玉を移動させなかった場合の☖3九角からの詰みを防いだだけでなく、先手に有効な詰めろが掛からなくなりました。
中盤・終盤の局面で玉を意識的に相手の攻めから逃がしておくのは、得になるという意味です。
八手と言うのは本当の意味での8手得をするという事ではなく、八には≪たくさん≫という意味があるので、玉の早逃げでたくさん得をすることがあるという事です。
特に難解な終盤戦において、自玉が危険な状況に陥る前に先に玉を逃がすか受けておく必要があるという事です。
相手を攻める時に、自玉が少しでも安全になった状態で攻める方が攻めにも集中出来ます。
もちろん局面によっては、早逃げするための手数を掛けるより相手を寄せる事に意識を向ける必要もあります。
自玉に王手が掛かる前に、玉を逃げるか受けておく手は有効になる場面も多いので、難解な局面なんかは意識しながら指してみて欲しい格言の一つです。
玉の腹から銀を打て(ぎょくのはらからぎんをうて)
有効な詰めろを掛ける為にはどうしたらいいでしょうか。
金や銀で王手を掛けても逃げられて捕まえるのは難しいです。
答えは☗3二銀と玉の腹から銀を打ちます。
後手に持ち駒がなければ次の☗2三銀成と☗3一馬が受かりません。
終盤の寄せの局面で、相手玉の真横に持ち駒の銀を打つと厳しい寄せになる事があるという意味です。
銀を相手玉の真横に打っても王手になりませんが、相手玉の逃げ道を塞ぎつつ上下の斜めからの攻めで寄せるのは、有効な寄せになる事が多いです。
特に王手が出来る場面では、銀で王手を掛けたくなると思いますが、そのまま逃がしてしまう恐れもあります。
詰み以外の局面で、相手玉の真横に銀を打てる場合は意識してみてください。
銀を使った【腹銀】という手筋と同じ意味です。
王手は追うてという格言もあるように、王手を掛けるのではなく次の厳しい攻めをみての寄せを意識して指してみて欲しい格言の一つです。
まとめ
今回は玉の格言を紹介してみました。
格言には先人たちから語り継がれてきた知識が詰まっています。
もちろん格言がすべてではなく、格言通りにいかない事も多々あります。
そういう時には自分の経験や知識を振り絞って判断する事も重要です。
あなたの将棋の上達の助けになればうれしいです。応援しています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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