飛角の格言
飛車や角は主に攻める場面で、もっとも重要な役割を果たしてきます。
そんな飛車や角にも、先人たちから語り継がれてきた多くの戒めがありますのでご紹介していきます。
意味を理解する事で、きっとあなたの上達の助けになってくれると思います。
序盤は飛車より角(じょばんはひしゃよりかく)
序盤の飛車角交換後の簡単な変化です。
☗6五角成とされた局面で、後手は☗4三角成と☗8三角成が同時に受からず、さらには先手陣に飛車を打ち込む隙もなく先手優勢になります。
序盤の内は飛車より角の方が、使い道が多いという意味です。
序盤の内は大駒を打ち込む場合や、両取りを掛けたりと色々と角の方が活躍する場面が多いです。
角は両取りを掛けやすく、相手陣から生還もしやすいので、成駒になり活躍しやすいです。
序盤のうちから角を馬に出来れば、優位に将棋を指していけるはずです。
ただし、有効な角打ちがない場面での飛車角交換は避けた方が良いと思います。
基本的には角よりも飛車の方が価値が高いので、わざわざ駒損する必要はありません。
序盤は飛車より角の方が活躍出来る場面が多いという格言です。
大駒は離して打て(おおごまははなしてうて)
簡単な詰将棋ですが角をどこに打ちますか?
☗3一角ですね。
☗2二角と打つと☖1一玉と引かれて詰みません。
☗3一角と話して打てば、☖1一玉に☗2二角成の詰みです。
大駒(飛車や角)は離して打つ方が、効果が高いという意味です。
大駒は相手の駒の近くに打つと、狙われやすい駒にもなります。
打った瞬間は大駒も成る事は出来ませんが、相手の駒から離して打ち、近づきながら成駒として活用する方が良いという事です。
ただし、離して打つと言ってもただ遠くに打てば良いというものでもないです。
離し過ぎて大駒の利きを遮断されたり、逆に相手に両取りを掛けられたりしたら意味がありません。
局面にもよりますが、大駒は離して打つ方が有効となる場合が多いという格言です。
大駒は近づいて受けよ
後手は☗4六角と王手をされた局面です。
どう受けるのが正解でしょうか?
☖6四歩ですね。7筋には二歩で歩が打てないので、7三に合駒をするには歩より高い駒で合駒しなくてはいけませんが、☗7四歩とすれば相手は困っています。☖6四歩に☗同歩と角を近づけてから、☖7三銀と角に当てて受けれます。
相手の大駒は、捨て駒などをすることによって近づけると大駒の攻撃を受けやすくなるという意味です。
離れている大駒よりも近くの大駒の方が、こちらの駒で当てながら受ける事が出来るようになります。
実際には大駒の利きを遮るように歩を突くか、持ち駒の歩を打つなどして受ける事が多いです。
そうして相手の大駒を近づけた後に、当てて受ける事が出来れば相手は大駒を逃げますが、1歩の犠牲で1手を稼げたことになります。
ただし、飛車が龍になっている場合は、近づけ過ぎると【一間竜】と呼ばれる形にもなりかねないので、成駒になっている場合は注意が必要です。
局面にもよりますが、大駒は基本的には近づけた方が受けやすいという格言です。
角筋は受けにくし(かくすじはうけにくし)
玉が角に睨まれている状態での角の攻めです。
☖2六歩と打たれて困ってます。
取り返す事が出来ず、歩で金を取られてしまいます。
相手の角の利きに自分の駒が入っている場合は、受けるのが難しいという意味です。
角の攻めは斜めからで、歩や桂馬などの安い駒を使って攻めやすいので、大きく駒得したり拠点を作ったりしやすいです。
特に斜めのラインを使って玉や飛車を攻める、【こびん攻め】と言う手筋はかなり厳しい攻めになります。
攻める時は角の利きを意識して、価値の高い駒を狙ったり玉を詰ます事を意識してみて下さい。
受ける時は、早めに角筋を避けるか2重や3重に利きを止める事が有効になる事が多いです。
遠くから角の利きに入っている場合は、特に気を付けて欲しい格言です。
飛車は十字に使え
簡単な飛車の使い方です。
☗2四歩、☖同歩に単純に☗同飛と1歩交換するだけでは面白くありません。
☗2四歩、☖同歩、☗2五歩と継ぎ歩で攻めて、☖同歩なら☗2五飛で王手銀取りになります。
☗2五歩を無視しても、そのあとの☗2四歩が後手には激痛になります。
飛車は縦と横に自在に動けるので、その縦と横の利きにそれぞれ狙いを秘めていれば有効な手になるという意味です。
飛車と言うのは、将棋において最も強い駒とされています。
一番強い駒の活用が出来ないと将棋自体を優位に運ぶ事は難しいです。
【十字飛車】という手筋もあるとおり、≪両取り≫≪詰めろと駒取り≫などのように、2つの厳しい攻めを実現させる事を意識するのが大切です。
縦と横に動ける飛車を、しっかりと活用出来るように気を付けて欲しい格言です。
二枚替えなら歩ともせよ(にまいがえならふともせよ)
ここでは☗6一馬と切って、☖同銀に☗同龍と角1枚と金銀2枚の交換をして攻めて行きます。
これで後手の美濃囲いは崩れてしまい、後手の持ち駒に金がないならほぼ受けはありません。
大駒は大切にするべき駒ではあるが、小駒2枚となら交換した方が得になりやすいという意味です。
言葉通りに受け取って、飛車や角が1枚と歩が2枚では基本的にはかなりの損になるので、言い過ぎな部分はあります。
しかし、大駒を大切にし過ぎず、時には大胆に駒損を恐れず切ってしまうことの重要性も忘れてはいけません。
例えば、こちらの大駒が成っていない状態で、相手からの大駒による反撃の心配がない、そんな場面では攻めやすい小駒2枚の方が価値が高い場合もあります。
そして大駒と金駒2枚の交換なら、基本的には得になる局面が多いので、意識してみて下さい。
小駒2枚との交換は流石に言い過ぎですが、大駒を大切にし過ぎるあまり好機を逃してしまうような事にならないように気を付けて欲しい格言です。
玉飛接近すべからず(ぎょくひせっきんすべからず)
飛車と玉が近づきすぎると危険です。
図では、☗6一角と飛車を攻めましたが、飛車を横に逃げても☗8三金、☖7一玉、☗7二銀までの詰みになります。
将棋の駒の中で、優先度の高い≪玉≫と≪飛車≫が接近し過ぎると、狙われたときに駒損しやすくなるという意味です。
特に飛車は、攻め駒として活躍する事の多い駒なので、必然的に飛車の近くは戦いが起きやすくなってきます。
そんな戦いが起こる近くに玉がいると、自然と王手も掛かりやすくなり危険です。
基本的な定跡には、玉がいる側とは反対側に飛車を使う事がほとんどだと思います。
絶対に守らなければならない≪玉≫の近くには、戦いが起こりやすい≪飛車≫は近づけない様に気を付けて欲しい格言です。
馬の守りは金銀三枚(うまのまもりはきんぎんさんまい)
馬を☗5三馬と自陣に引いて受けに使った局面です。
後手のと金攻めの4八の歩と5八の銀を狙っています。
☖4九歩成としてきたら、5八の銀を取ってしまえば後手の攻めは切れてきます。
9九の龍の利きも7一の歩で利きを止めているのも馬の防御力です。
このように金と銀が単独では出来ない動きが出来るのが馬の守りの優れたところです。
馬を自陣に引き付けて、守りに活用すれば金銀三枚の価値ある駒になるという意味です。
しかし、実際に金銀三枚の価値があるかと言われれば、当然そんな事はないです。
馬は守備駒としてかなり強力なので、守りに使えばかなり有効だという事を表しています。
実際の将棋では、金銀2枚ぐらいと馬がいればかなりの守備力を発揮します。
飛車の成駒の≪龍≫も守りに使うとかなり強力な駒ですが、【龍は敵陣に馬は自陣に】という格言もある通り、龍の場合は攻めに使いたいです。
馬は敵陣から自陣に戻る事もしやすいので、守りに使うなら馬の方が適しています。
角が成って馬になれば、かなり強力な守り駒として活躍できるという事を表している格言です。
角交換に5筋の歩を突くな(かくこうかんにごすじのふをつくな)
角交換の序盤ですが、先手が5六歩と突いた局面です。
このように5筋の歩を突くと、☖3九角と打たれて飛車取りと馬作りが受からず、劣勢になってしまいます。
序盤で角交換になった将棋は、5筋の歩を突くと角の打ち込みによって馬を作られたり、両取りを掛けられやすくなるという意味です。
序盤の駒組みの段階で角交換をするか、角交換になりそうだと思えば、5筋の歩を突くのを考えた方がいいです。
もちろん5筋の歩を突くことによって、厳しい狙いがあったり馬を作られても大丈夫な局面では例外になります。
しかし、基本的には角を打たれる変化が多い事は事実なので、状況を見据えながら5筋の歩は突くか突かないかを意識してみて下さい。
序盤の内から馬を作られたり、両取りを掛けられて不利な状況にならないように、5筋の歩は考えて突いてほしいという格言です。
まとめ
今回は飛車と角の格言を紹介してみました。
大駒と呼ばれる飛車と角は、将棋において強力な駒になりますので、特に有効に使いたいものです。
そして格言が全てではないので、時には状況によって格言に逆らう必要も出てきます。
しかし、格言は将棋の本質を得ている事が多いので、あなたの将棋に活かす事が上達の助けになってくれるはずです。
あなたの将棋の上達の助けになってくれる事を願っています。応援しています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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