苦手な戦法はだれしもある
対戦相手から使われて嫌な戦法は誰でもあると思います。
私は奇襲戦法を使われて、良く分からない内に負け、卑怯な戦法だなと感じる事もありました。
インターネットの中での将棋では、対策を知らない相手には簡単にハマる戦法もあります。
簡単に勝てる事に味を占めて、奇襲戦法を多用する方が多いのは、ネット将棋であれば仕方のない事だと思います。
しかし、将棋の戦法の中で卑怯な戦法などは一つもない、と考えを変える事で苦手戦法に対しての苦手意識は薄れていきました。
なぜなら、将棋は奇襲戦法はしっかりと対策が出来ていれば、基本的には仕掛けた側が不利になるからです。
しっかりと奇襲戦法の対策を学ぶことが出来れば、使われても冷静に対処でき、カウンター気味に勝利することが出来ます。
序盤の定跡は全ての戦型にあるので、負けた事のある奇襲戦法の対策はしっかりとして、序盤からかき乱される事のないようにしましょう。
今回は特に初心者の方は対策を知らないとすぐに負けてしまう戦法・使われる事に対して苦手意識の高い戦法を挙げてみます。
初心者の方が格上の方に一発決めたい時にも使えるので、定跡はある程度覚えておいて損はないです。
鬼殺し
鬼も驚く桂馬の二段跳ねと呼ばれる将棋の代表的な奇襲戦法になります。
主に初級者~中級者の方が使う事が多いと思います。特に初心者の方は自分より格上の相手でも、対策を知らない人の場合は簡単に勝勢に持っていくことが出来ます。
相手が先手番で互いに角道を開けあった後、普通なら飛車先の歩や6筋の歩を突いたりしますが、いきなり☗7七桂と跳ねてきます。
対策を知らない初見であれば、まず罠にハマる事になる戦法です。
基本の指し手
失敗図1
☗7六歩、☖3四歩、☗7七桂
ここまでが基本の指し方になります。
後手がこれは何だろうと普通に指していては、以下
☖8六歩、☗7八飛、☖6二銀、☗7五歩、☖4二玉、☗6五桂、失敗図1
これは失敗例です。
これでは7筋に力を集中されてとても持ちません。
しっかりとした対策は別の記事で説明させてもらいますが、7筋を集中突破するこれが鬼殺しの基本的な狙い筋になります。
鬼殺しはしっかりと対策出来れば、むしろ大歓迎と言ってもいいぐらいの戦法になりますよ。
新鬼殺し
こちらの新鬼殺しは実はプロ棋戦にも登場したことのある戦法になります。
プロが使ったのだから、かなり複雑になる難しい戦法と思われるかもしれません。
しかし、定跡が確立されて対策と言うか奇襲を封印する指し方がありますので、私はそうしています。
相手は研究しているのに、こちらが知らないでは勝負になりませんからね。
基本の指し手
基本図
初手からの指し手
☗7六歩、☖8四歩、☗7五歩、☖8五歩、☗7七角、☖3四歩、☗7八飛、基本図
となりますが、基本図からは後手は☖4二玉や☖6二銀とするのが自然です。
こちらも詳しい変化や対策は別の記事で載せておきますが、簡単な奇襲封印としては☖4二玉とするのがいいと思います。
意外と詳しい狙いの見えない戦法なので、相手の研究には付き合わない様にするのが肝心です。
急戦石田流・先手番早石田
こちらは基本図は新鬼殺しと似ている局面です。
急戦石田流は新鬼殺しの基本図から、☖6二銀とした後にあくまで急戦を狙ってくるような指し方になります。
相手は急戦を狙っているのですから、多少の不利は構わず仕掛けようとします。
なので私は、急戦の変化の少ない☖4二玉が一番対策しやすいと思います。
そこからは普通の石田流に組むか、あくまでも急戦を狙ってくるかは分かりませんが、とちらもしっかりと対策出来れば石田流の急戦を拒否出来ます。
こちらも詳しくは別記事で紹介したいと思います。
パックマン戦法
後手番で初手を角道を開ける☖3四歩ではなく☖4四歩といきなり突きます。
名前の由来はゲームのパックマンから来ています。
角で歩がタダだと思って取ると… 相手の思うつぼです。研究将棋になるので何も分からない時は無視(歩を取らない)するのが一番です。
基本の指し手
基本図
初手からの指し手
☗7六歩、☖4四歩と突いた所で、ただの歩に飛びつく☗4四同角は撒き餌の一手になります。
基本図から
☗4四同角、☖4二飛、☗5三角成、☖3四歩、☗8八銀、☖4七飛成と進めばたちまち後手ペースになってしまいます。
しっかりと対策が出来ていれば、堂々と歩をパックリと頂いてもこちらが有利な変化になります。
ただし、対策を学んでいないうちは最初に言った通り、無視するのが早いです。
詳しい変化は別の記事に乗せておきます。
筋違い角
筋違い角は互いに角道を開けあった後に、先手がいきなり手損に構わず角交換に出る戦法です。
純粋な手損にはなりますが、強引に自分の土俵に引きずり込む意味合いが強いです。
他には、振り飛車党に飛車を振らせないようにするという意味もあります。
基本の指し手
基本図
初手からの指し手
☗7六歩、☖3四歩、☗2二角成、☖同銀、☗4五角、基本図となります。
後手が振り飛車にこだわって、☖同銀の場面で☖2二同飛としてしまうと、
☗6五角で先手よしになります。
参考図
私は振り飛車党なので、基本図からの指し手に無理やり振り飛車に構える事にしています。
基本図から
☖6二飛、☗3四角、☖4二飛、参考図
とすることで、振り飛車にはさせませんよと言っている相手に対して、意地でも振り飛車にすることが出来ます。
私の場合は振り飛車にするのが対策なので、振り飛車党の方は続きも別記事で見てみてください。
筋違い角はアマチュアでは人気の戦法でもあるので、しっかりと対策が必要です。
詳しくは別の記事に乗せておきますので、参考にしてください。
嬉野流
こちらは嵌め手の類ではありませんが、対策を知らないと一気に形成が傾く事を考えれば奇襲戦法の一種だと思われます。
マイナー戦法ではありますが、上級者の方でも愛用する人がいるぐらいメジャーな戦法です。
その為、嬉野流に対しては一つぐらいは対策を持っていないと嬉野流に対しての苦手意識はなくならないと思います。
私の思う嬉野流の厄介な所は、対策をしていてもなかなか形勢がこちらに有利にならないというところです。
研究は進んできているので、詳しい方なら嬉野流は怖くないと言う方もいると思いますが、私は正直苦手戦法の一つです。
基本の指し手
基本図
初手からの指し手
☗6八銀、☖3四歩、☗7九角、基本図となります。
ここまで指されれば、使われたことのある人は嬉野流かと気づくと思います。
色々と工夫を凝らした指し方をする方も多いので、油断できない戦法ですよね。
途中図
基本図からの指し手
☖8四歩、☗7八金、☖8五歩、☗4八銀、☖8六歩、☗同歩、☖同飛、☗8八歩、途中図
簡単な進行になりますが、ここで土下座の歩を打つのも嬉野流の特徴の一つでもあります。
☗8八歩では最近では☗8七歩と指される方の方が多いと思います。
嬉野流は、居玉のまま戦いに発展することも多い戦法ではありますが、居玉だからと侮っていてはいけません。
色々な変化や対策については別の記事に載せておきますので、参考にしてください。
アヒル戦法
アヒル囲いという名前でも呼ばれています。
守りの囲いがそのまま戦法になっている指し方になります。
中住まい風の構え・端角・浮き飛車の形が特徴的です。
駒の打ち込みにとても強い囲いなので、少しの駒損を惜しまずに積極的に駒交換を狙ってきます。
特に序盤早々に大駒交換を仕掛けてきます。
基本の指し手
基本図
初手からの指し手
☗2六歩、☖3四歩、☗2五歩、☖3三角、☗2六飛、基本図となります。
浮き飛車に構えて、まずは3四の歩を狙ってくる指し方が多いです。
その後の差し回しとしては、端に角を出てきてどんどんと駒交換を迫っていく感じになります。
囲い完成図
基本図以下の指し手は省略しますが、最初の変化は色々とあるものの、玉の囲い・端角・浮き飛車の揃った形がアヒル戦法の真骨頂になります。
ネットの時間切れ負けの早指し将棋では、かなり有効になる戦法だと思います。
相手の陣地には、大駒の打ち込む隙がないので、相手としては大駒の交換に持ち込めればそれだけで成功になります。
囲いの守備力はないので、相手にどんどん駒を成られるような事になれば、あっという間に玉が詰まされてしまいます。
こちらとしては、大駒の交換は極力避けつつ、相手の攻めをいなしていく指し回しが必要になります。
変化や対策も色々ありますので、別の記事に載せておきますので良かったら参考にしてください。
まとめ
- 奇襲戦法は対策さえしっかりとしていれば、仕掛けた側が不利になる変化が多い
- 鬼殺しは対策がしっかりしていれば、むしろ大歓迎
- 新鬼殺しは☖4二玉で、奇襲封印
- パックマン戦法の対策が分からなければ、☖4四歩は無視すればいい
- 筋違い角は振り飛車党なら、無理やり振り飛車にするのも有力
- 嬉野流は、しっかりと対策が出来てもこちらが有利になるのは難しい
- アヒル戦法は、ネット将棋の切れ負けではかなり厄介な戦法
奇襲戦法はかなり色々な戦法があるのに加えて、愛用されている方も多くいます。
自分が分からないからあの戦法は卑怯だ、と非難するような事にならずにしっかりと対策し、良い将棋ライフを送りましょう。
そして、今回ご紹介したものは奇襲戦法と呼ばれる物の一部です。
実は知らない奇襲戦法なんてものもあると思います。
次回はもっとマイナーな奇襲戦法をご紹介していきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
あなたが、奇襲戦法に対して苦手意識がなくなるように応援しています、頑張ってください。
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